前回は番組に対する私の率直な感想を述べさせていただきました。
今回はもう少し東洋医学を掘り下げてお話ししていきたいと思います。
西洋医学の強み
東洋医学を語る前に、まず西洋医学の強みについてもお伝えします。
これについて私は何度も言いますが、西洋医学は外科や救急救命、細菌感染症に検査、ワクチンなど、死に関わることに強いのです。対して、慢性症状に強いのはやはり東洋医学といえるでしょう。それなのに先の例でいうと、明治7年でいきなり和食屋さんが洋食屋さんばかりになったらおかしいと思いませんか?
どうおかしいかというと、どちらが美味しいかなんて優劣がつけられないはずなのです。つまり洋食(西洋医学)が上で和食(東洋医学)が下ということはなく、ふたつとも独立したよいものなのです。
あらゆる慢性病には東洋医学が必要ですから、西洋医学ばかりが溢れる今の世の中は少し違いますよね。先ほどのうつ病の方のように、いろいろな症状がある場合はまず東洋医学にかかるべきなんですよ、本当に。
薬=石油?
鍼灸の紹介の前に漢方の専門医の方が話していましたが、西洋医学の薬の成分の一つである人工合成物は基本的に石油でできています。
一方、東洋医学の漢方は植物や動物、鉱物など自然由来なんです。過激な話ですが事実なので、ウソだと思う方は「薬 石油」などのキーワードで検索して調べてみてください。私からしてみれば、西洋医学の薬は石油で東洋医学の薬は自然由来だといえるのです。
あと副作用の話もしていましたね。漢方には間質性肺炎に使う小柴胡湯というものがあり、いろいろな副作用があります。でも番組でも先生が西洋医学ほどではないとおっしゃっていましたが、市販の風邪薬でも亡くなる方はいますからね。
厚生労働省のホームページを見ると、283種類ぐらいの身近な薬で大体100人程度お亡くなりになっています。スティーブン・ジョンソン症候群とか、風邪薬1錠飲んだだけで肝臓移植をした方もいらっしゃいます。
後頭神経痛(こうとうしんけいつう)で服薬
私は普段薬を飲みませんが、5年に1回くらいとんでもなく首の後ろが痛むことがあって、そのときだけ薬を飲みます。鍼治療で3日程度で治るのですが、当日はものすごく痛むので痛み止めが必要になります。
歯の治療の際に響くような痛みがありますが、ああいう感じでズキズキ痛むんです。唾を飲んだり喋ったりしても痛むので、患者さんの施術に影響が出てはいけませんからね、致し方なく服用しますよ。
ただ私は薬を飲むときは、肝臓移植をすることになるかもしれないと思って飲みます。これ1錠飲んだらスティーブン・ジョンソン症候群になるかもしれないと思って飲むんです。
この感覚は飛行機に乗ったら落ちるかもしれないと思って乗る感覚と似ていますね。99.9%以上は落ちないけど、落ちることもあるじゃないですか。まず大丈夫だけどそうなることがあるわけで、薬の副作用も同じなんです。なぜそう思うかというと、やはり薬は石油でできているからです。でも漢方で死ぬことはありません。
ここでいう副作用は、先ほどの漢方薬でいえば肝臓関係で間質性肺炎や偽アルドステロン症といった血圧の上昇や、心臓関係の漢方薬「麻黄」で交感神経が優位になるといった程度です。
西洋医学の副作用に比べれば微々たるものですが、番組でそこまで話すと内容がわかりづらくなるのでしょうね。ある程度の制限の中で話しているのだなという感じが私からすると見てとれました。
東洋医学のメリット
かなり敵を作るような表現でお話ししましたが、なぜこんなことを言うかというと、東洋医学には良いところがたくさんあるからなんです。当院のホームページをご覧になればわかりますが、メリットがたくさんあります。
もちろん西洋医学も天然痘を撲滅したり、今回のコロナ騒動に至っては救命救急技術が活躍したりと良い点がたくさんありますよ。西洋医学がなければ助からない命もたくさんあるでしょう。ただし西洋医学は生きるか死ぬかなんです。心筋梗塞や脳梗塞、脳腫瘍の患者さんに鍼灸や漢方をやったって治りません。
でもわたしたちに身近な病気である慢性症状や生活習慣病、体質からくるものは東洋医学の出番なんです。これらの症状で西洋医学の病院に行ったら、肩こりや生理痛には痛み止め、眠りが浅いと睡眠導入剤、鼻が悪ければヒスタミンといったように、薬漬けにされてしまうではないですか。
さらに薬には副作用のリスクもあり、身体にダメージを与えるわけです。いつになったら治るんだって話ですが治りませんよ、これらは対症療法なので。慢性症状を改善するには身体の質を変えられる東洋医学が絶対必要なんです。
対して西洋医学は、もともとは戦争医学なんです。西洋医学は戦場で撃たれた兵士の弾薬を抜いて、縫合して消毒してというのをくり返していました。だから西洋医学は外科しかなかったのです。でもそのおかげで救命救急や生死に関わるところは、西洋医学様様ですよね。
身体全体を包括的にみる東洋医学
他にも、西洋医学は身体をパーツで区切る習慣があって、全体像をまったく見ないんですよね。さっき言ったように肩こりなら整形外科、動悸がするなら循環器科、生理痛なら婦人科というように科がバラバラなんです。
でも身体って全部がつながっているので、目玉だけが空中に浮いているわけじゃないですよね。だから生理前に気分が落ち込むからといって、婦人科や心療内科を受診するのは間違いですよ。
身体は全部つながっているので、その人の体質と身体の状態を整えなければ不調は改善しないんです。それらを治していくのが東洋医学であって、症状を抑えるだけの西洋医学ではダメなのです。高血圧になったら一生薬を飲みなさいって、そんな臭い物に蓋をするような治療はもう治療と呼べません。
高血圧で一生薬を処方するなんて、治るか治らないかで勝負していないじゃないですか。鍼灸院なんて、治るか治らないかを基準でやっているので治らなきゃ潰れるんですよ。確かに病院でも花粉症に抗ヒスタミン薬とか舌下療法とかを行う根本治療とかもあります。
でも基本的に病院っていうのは、そんなことをしなくても健康診断やワクチンだけでも成り立つんですよ。なのに病院は明治維新の頃からみんなが宗教のように信じてしまっていますね。私からすると「東洋医学のチカラ」というのは本当に治るか治らないかの勝負の世界なんです。
いろいろと暴言があって、ご気分を悪くされた方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそういう信念でやっております。東洋医学は病人のことを考えると、もっともっと表舞台に出なけばならないなと思っています。
三方よし
最後に、鍼灸院は「治療する場所よし」「社会よし」「患者さんよし」というようにしなければいけないんですよ。でも薬漬けになると「病院・薬局よし」「製薬会社よし」ただし「患者さんはダメ」「社会保障費もダメ」みたいになりますよね。
医療というのは本来、患者さんを減らすために行うんです。それなのにここ70年間で医療費は200倍に膨れ上がっています。誰がこのお金を払っているかというと、私たちの税金なんですよ。東洋医学は陰でひっそりやることが多いので、だから私は声を大にしてここでお伝えしているわけです。
おわりに
今日はNHK「きょうの健康 東洋医学のチカラ 鍼灸」という番組を観た率直な感想についてお話しました。あくまでも私の意見ですが、参考にしていただけると幸いです。
これからも私たちは東洋医学の復興と鍼灸の普及に努めてまいります。