東洋はり灸整骨院 院長の石丸です。
今回は「葛根湯医者はヤブ医者?」と題してお話ししたいと思います。
漢方薬の葛根湯はご存知の方も多いかと思いますが、江戸時代に「葛根湯医者」と呼ばれる医者がいました。この表面的にはヤブ医者とされた葛根湯医者について解説します。
葛根湯医者
江戸時代、どのような症状にも葛根湯を処方する町医者がいました。
- 頭痛
- 腰痛
- 腹痛
- ひざの痛み
など、何にでも葛根湯を処方するため、皮肉を込めてヤブ医者の意味で「葛根湯医者」と呼ばれました。
しかし、逆に考えると葛根湯は適用範囲が非常に広いともいえます。
外からの影響
季節の変わり目に体調を崩す方は多いと思います。また、季節の変わり目に加えて外気の変化も体調を崩しやすくします。
これは次のような外からの影響に人体が非常に大きく左右されるからです。
- 急に寒くなる/暑くなる
- 雨が降る
- 台風がくる
葛根湯の働き
ここで葛根湯がどのような働きをするのかについてご説明します。
葛根湯は内臓の機能を高めます。葛根湯には麻黄という生薬が入っており、この麻黄の効果で外から入ってきたものを表層まで追い出します。これが葛根湯の働きなので、風邪には効果的です。風邪は外から入ってくるウイルスなので、葛根湯が内臓の機能を高めて外に追い出してくれるわけです。
葛根湯の適用範囲
たとえば、天気が悪くなる前に膝が痛くなるとします。天気が悪くなるというのは外の変化です。この体の中に入ってきた外の変化を追い出すことで膝の痛みも改善します。同様に天気が悪くなる前に頭痛が起こる場合も、体の中に入ってきた天気の悪さを内蔵の機能を高めることで外に出してくれます。
江戸時代に何にでも葛根湯を処方する医者は「葛根湯医者」としてヤブ医者扱いされましたが、それだけ適用範囲が広いともいえるわけです。
気候の変化による不調には葛根湯
とくに気候の変動、季節の変わり目、外気の変化による不調の場合、どのような症状でも葛根湯が有効です。
鍼灸院に来店される患者様は気候の変動に非常に敏感な方が多いです。急な首の痛みや頭痛、めまいは外気から影響を受けているケースも多いので、その場合は葛根湯を試してみるのもよいでしょう。
【レシピ動画】葛湯(くず湯)の作り方
こちらはたまプラーザ院の露木院長によるくず湯の解説動画です。
分かりやすい材料や調理法の紹介もありますので、よかったら併せてご覧ください。
葛根湯は優れた漢方薬
ヤブ医者といわれた所以でもありますが、葛根湯はそれだけ適用範囲が広いということです。
江戸時代に知識もなく葛根湯ばかりを使っていた医者はヤブ医者だったかもしれませんが、知識のある医者が多くの場面で葛根湯を使うことはヤブ医者ではありません。それだけ葛根湯が優れていて、適用範囲が広い漢方薬であることの証明といえるでしょう。