東洋はり灸整骨院 院長の石丸です。
今回は「失敗しない鍼灸院の選び方」についてお話ししたいと思います。
鍼灸院の選び方についてはこれまでにも何度かふれてきましたが、改めてお話ししなければと思う出来事があったのでお伝えしたいと思います。
【動画解説】鍼灸院を選ぶ際の4つのポイント
※施術効果には個人差がございます。
鍼灸院に騙されないために
先日、ある症状に困り5～6年にわたってさまざまな病院に通っていた患者様が当院に来院されました。その方は病院や整体院にお金と時間、労力を使うも一向に改善されず、藁にも縋る思いで東洋医学をうたうとある鍼灸院に行ったそうです。
その鍼灸院では12,000円のところを初回は3,000円台の割引価格として集客をし、2回目以降は40回で40万円ほどの回数券購入をすすめられたそうです。私が1回目の施術内容を聞いたところ、患部に鍼を打っているだけで改善できる内容とは思えませんでした。
このように本当に困っている患者様に対して高額な回数券を売りつける鍼灸院は存在します。私はこのような鍼灸院に一般の鍼灸院を探している方が騙されてほしくはありません。多くの方が騙されたくはないと思っているはずなので、騙されたくない方はぜひ参考にしてください。
また、私はこの鍼灸院業界に20年以上、身を置いています。さらに一人治療院から始めた鍼灸院は今現在、海外を含む7店舗を運営しており、日本でもっとも大きな鍼灸院であると自負しております。
このような中でさまざまな段階や鍼灸院を見てきており、鍼灸院業界のことはよく理解しているつもりです。そんな私から見た失敗しない鍼灸院の選び方とそのポイントをお伝えしますので、ぜひご覧ください。
その1 鍼灸専門の鍼灸院
まず1つ目のポイントとして、鍼灸院に行こうと思ったときにはぜひ鍼灸専門の鍼灸院に行ってください。
鍼灸整骨院の場合、整骨院業務やカイロ、マッサージ、整体がメインとなり鍼が片手間になっていることが多いです。（ちなみに当院の町田本院ははり灸整骨院とうたっていますが、はり灸しか行っていません。）
鍼灸整骨院の鍼のレベルは寿司屋にたとえると回転寿司のようなものだと思ってください。寿司のほかにもうどんやアイスクリームを取り扱う店では寿司のレベルが低い可能性があります。鍼灸専門の鍼灸院は寿司専門店なので、寿司一本で戦っているわけです。
ただ、鍼灸専門で運営している鍼灸院は全体の約2～3％であり、50件に1件程度しか存在しません。これはなぜかというと、経営が難しいからです。鍼灸院に行こうと思う患者様の多くはさまざまなザルに漏れた方です。病院に行っても治らず、漢方薬や整体を試してもダメだった場合に仕方がなく鍼灸に行くので、鍼灸院は最終砦なのです。
鍼灸院は一般的に「痛そう」「怖そう」「感染しそう」「高そう」と思われており、デメリットのイメージばかりではないでしょうか。それでも今の状況が耐えられずに鍼灸院に行ってみようと思う方ばかりなのである意味、鍼灸院にはもっとも難しい方が訪れるわけです。
そして、その難しい症状を改善できなければ鍼灸院は成り立たないわけですが、逆にいうと鍼灸専門の鍼灸院は改善しているからこそ成り立っているとも考えられます。マッサージや整体を行っているところではマッサージや整体で成り立ってしまっているので、鍼灸の質は低くなる可能性が高いと思ってください。
鍼灸専門院の種類
鍼灸専門の鍼灸院はどのようなところがあるのか見ていきましょう。
①日本伝統鍼灸
日本の伝統的な鍼灸を行うところで当院もこれにあたります。
②中国鍼
中医学にのっとって鍼灸を行う中国寄りの考え方のところです。
③現代医学鍼
自律神経や神経、筋肉の考え方から鍼灸を行うものです。
私としては改善できる疾患もあるとは思いますが、東洋医学専門の鍼灸には勝てないと思っています。
また、鍼灸会に属する鍼灸師が1番多いのも現代医学鍼です。学校では西洋医学ばかり勉強するため、鍼灸学生の頭の中も西洋医学ばかりになってしまうわけです。
伝統的な鍼灸を学ばない人が非常に多く残念な現状ですが、私は①日本伝統鍼灸と②中国鍼をオススメしています。とくに内科疾患などは現代医学鍼では改善できず、肩こりひとつでも改善できるのか疑問なところです。
その2 口コミ数が常識的
2つ目のポイントは口コミの数が常識的であることです。Googleなどで調べた際に口コミの数が常識的な鍼灸院に行ってほしいと思います。
町田本院は現在ベッド17台、鍼灸師14名で運営しており、一人鍼灸院からはじめて20年ほどになります。土曜日には約140名の患者様が来院され、鍼灸院としては日本一の規模です。
患者様に対して「実際に改善されているのであれば、東洋医学のよさを広めていただけませんか？」とお願いすることもありますが、このような状況でも町田本院の口コミ数は100ほどです。患者様にお願いしていなければ、おそらく30、40ほどではないでしょうか。
本来の口コミの姿は何の依頼もしないものでしょうが、世の中には300や400といった異常な口コミ数の鍼灸院もあります。私としては200でも怪しいと思っています。このような鍼灸院では口コミを書くことを条件に商品提供や割引などを行っていると考えられます。ひどいところではその場で口コミを書き込むように指示するところもあるそうですが、そうでなければ300、400の口コミ数はあり得ません。
町田本院のある町田は乗降者数が小田急線では新宿に次ぐ第2位であり、非常に人が多い場所でもあります。このような場所で20年も続く日本一の規模の鍼灸院の口コミ数でも100程度です。また、口コミ数が常識的ではない鍼灸院の多くはグループ院なので、その点にもご注意ください。
悪い口コミを読むと「患者に口コミを書かせています」「初回を安くするからと言われて書いています」と書いてある場合もあります。これが本当の姿ですので、お気をつけください。
口コミ数については常識的な数の鍼灸院の方が絶対に安全だと私は思っています。
その3 料金が常識的
3つ目は施術費が常識的であることです。料金と効果は比例しません。
- 「料金が高い方が高度な施術をしてくれる」
- 「高い方が改善してくれる」
- 「私の症状は重く難しいので、高いところでしか改善できない」
とは絶対に思わないでください。
私の尊敬する潮見先生は生前3,000円台で施術をしていました。直属の師匠である本多先生は今でも4,500円、所沢市の治療家歴50年の鍼灸師会会長は3,300円で施術しているそうです。
では冒頭にお話しした初回12,000円の鍼灸院が潮見先生の行う3,000円台の施術の4倍の効果が出せるのかというと、等しいどころが私は半分以下の効果だと思います。このように考えると、施術費が常識的な鍼灸院を選んだ方がよいと思います。
正直なところ、当院でも広告費や運営費などさまざまな費用がかかるため、その分を施術費に上乗せしなければいけません。3,000円台、4,000円台で施術されている40年、50年のキャリアを持つ達人級の方々は広告活動を一切行わないために安くできるという面もあります。
長いキャリアによって既存の患者様だけでも運営できる鍼灸院とは異なり、新しく始めた人たちにとって今の時代はネット戦略による経費がかかることも事実です。しかし、それを理解したうえでも料金と効果は比例しないので、施術費が常識的な鍼灸院を選ぶ方がみなさんのためになると思います。
その4 高額な回数券や物販をしない
4つ目は高額な回数券や物販をしないことです。これは何度もお話ししていますが、患者様のために回数券を売るのであれば問題ありません。
1回や2回では難しくても10回来院してもらえれば改善できる自信が本当にあるとします。その場合に「その都度、施術料金を払ってもらうと負担が大きいので、回数券もありますがいかがですか？」「10回分の購入はリスクもあるので、2～3回受けてみて効果を感じたらいつでも言ってください」とオススメすることはよいと思います。
しかし、初回にいきなり「今、決めてもらえればこの値段ですよ」「2回目までに決めてください」などとリミットを定めている場合は非常に怪しいです。今だけ、金だけ、自分だけで患者様のことを第一に考えていない可能性が高いと思います。
ポイントは治療家なのかどうか
鍼灸業界に20年以上、身を置いている私としてはこれら4つの点に注意して鍼灸院を選びます。
当院では遠方からお問い合わせの電話をいただくことがあります。紹介できる鍼灸院がある場合はご紹介しますが、わからない場合は私が調べることもあります。このときにも4つのポイントに注意して調べ、ご紹介するようにしています。
これらのポイントに共通していえることは、その人が本当に治療家なのかということです。本当に治したいと思っているのか、それともセールスマンなのかが重要です。
症状が改善した場合、その患者様は周りの人を連れてきてくれるので鍼灸院は繁栄します。改善することに特化して考えて行動した結果、最後にはお金が入ってくると考える人が治療家です。これに対してセールスマンはまずお金を取りに行くというマインドなのです。
鍼灸院運営の中で両方の面を持つ人もいるかもしれませんが、大きく分けると治療家かセールスマンなのだと思います。お伝えした4つのポイントに注意することでこのセールスマン鍼灸院にあたる可能性は低くなるでしょう。
正直者が馬鹿を見ないために
実は治療家魂を持ち、良心的な施術にあたっている鍼灸院にはあまり宣伝活動を行っていないケースも多くあります。ホームページが貧相、もしくはホームページ自体がない鍼灸院もあるほどです。しかし心は治療家魂に燃え、治療バカともいえるほど勉強をして腕を磨いている鍼灸師は多く存在します。
私はそのような鍼灸師が集まる会に所属していましたが、その人たちは一般の人に認知してもらえないため、まったく報われずにいます。だからこそ私はYouTubeを含むさまざまな広告活動を行っていますが、これは正直者が馬鹿を見ないための活動なのです。
正々堂々とした運営が利益を上げる
治療家魂を持った鍼灸院がYouTubeなどの告知活動を行っていけば、当院のように拡大できるはずです。これは患者様を騙していないので、当然の結果です。喜ばせた患者様は周りの人たちを連れてきてくれるので、その結果として拡大できるのです。
これに対してセールスマン鍼灸院は患者様が離れていきます。離れるだけならまだしも「あそこの鍼灸院は高いだけでまったく改善しない」と言われてしまうのです。人の口に戸は立てられません。
セールスマン鍼灸院の方はぜひ患者様のためを思って腕と理論を磨き、正々堂々と鍼灸院運営をしてほしいと思います。結果的にはその方が鍼灸院は繁盛し、利益も上がるはずなのでぜひ考え直してください。
