東洋はり灸整骨院 院長の石丸です。
今回は、呼吸に関する東洋医学的な考え方についてお話しします。
呼吸は命と精神に深く関わっている
人生の始まりは、「オギャー」と息を吐きながらであり、死ぬ際は「息を引き取る」と表現されます。また、持ち直すことを「息を吹き返す」ともいうなど、呼吸は生命と深く関わっています。
私たちの一生は、産声を上げる『陽』で始まり、息を引き取る『陰』で終わるのです。
また、「息」という感じが「自分の心」と書くように、呼吸は精神とも深い関係があります。リラックスするためにも集中するためにも、深呼吸は効果的なものです。
呼吸の種類
よく知られているように、呼吸には、
- 胸式呼吸
- 腹式呼吸
とがあります。胸式呼吸は、普段ほぼ無意識で行っている呼吸です。もうひとつの腹式呼吸は、横隔膜を使って大きく呼吸する方法です。
普段の胸式呼吸もそうですが、腹式呼吸でこれ以上吐ききれないと思うまで息を吐いても、身体の中には空気が残っています。つまり、身体には古い空気が溜まりがちだということ。このため、邪気や悪いものが溜まってしまうのです。
それらを吐き出すためには、1日に何回か意識して呼吸してみましょう。息を吐ききってしまえば、新鮮な空気が入ってきやすくもなります。
丹田を意識した呼吸法
へその下に「丹田」という場所があります。応援するときなどには「腹の底から声を出せ」という言い方をしますし、歌手も全身を楽器にして腹の底から声を出します。
このように声を出す動作だけでなく、パンチを打つ際にも、下半身から丹田に力を込めて打つことで強いパンチが繰り出せるようになります。丹田は生命の源であり、パワーの源なのです。
さらに、頭に血が上っているときには、丹田に意識を置くとリラックスできます。
腹式呼吸をするときには、丹田に手を置き、お腹が膨らむのを感じながら3秒かけて鼻から吸い、7秒かけて口から吐きます。吐くときには、お腹が凹んでいることを確認してください。この方法を1日5回実践すると、肝と腎が強化できます。
肝と腎は生命の根源
東洋医学では、肝と腎を生命の根源と考え、重要視しています。年齢を重ねるうち次第に肝、腎が弱ってきますが、これによって、次のような症状が出るようになります。
- 白髪
- 骨粗鬆症
- 頻尿
- 高血圧
- 下半身の冷え
- 腰痛
- 歯がもろくなる
- 白内障
睡眠にも影響を与えるため、お年寄りの方が不眠症を訴える場合は、腎が弱っていないかを疑ってみてください。
こうした肝や腎の衰えを防ぐために有効なのが、腹式呼吸です。1日に数回、意識して深く呼吸し、生命力を上げていきましょう。