咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)という症状をご存じでしょうか。
つばを飲み込んだ時に、喉がつかえるような異物感を覚える症状ですが、食事や水などが喉を通る時にはそういった感覚はありません。
耳鼻咽喉科で診察してもらっても咽頭や喉には異常が見つからない場合、咽喉頭異常感症と診断されます。内科では、これをヒステリー球またはヒステリー球症候群と呼びます。
今回は、この咽喉頭異常感症について解説いたします。
西洋医学が考える咽喉頭異常感症
西洋医学(病院)では、
- ストレス
- アレルギー
- 女性ホルモン
などが関与していると考えられ、「自律神経の乱れから来るもの」といったよくある原因を告げられ、トローチなどの処方で終わってしまうことも多いようです。
それだけならまだしも、抗うつ薬や抗不安薬を処方されてしまう場合もあり、「精神状態が不安定で、ありもしないものを疑似知覚している」と判断されてしまいます。
検査をしても原因不明
咽喉頭異常感症の診断には、喉、鼻腔などをファイバースコープで検査したり、触診を行ったあとに血液検査、CTスキャンなどを行います。
しかし、どれほど検査しても腫瘤も炎症もなく、嚥下力が衰えているわけでもない場合、西洋医学では「異常はない」以外の返答はありません。
ですが、患者さまは症状を感じているため、病院を転々としたり、何度も症状を訴えることになります。すると、ヒステリー球という名の通りヒステリックな人の症状とみなし、精神安定剤などが処方されてしまうのです。
こんな場合、東洋医学ではどのように診断するでしょうか。
東洋医学の捉え方
咽喉頭異常感症のことを、東洋医学では梅核気(ばいかくき)といいます。
梅の種(梅核)が喉のあたりに詰まっているような感じがすることから、つけられた名称です。
中国医学では梅核気を「肝鬱気滞痰凝、咽部痰気互結」、つまり肝に異常があり、気(エネルギー)がうまく全身に巡らず滞留して痰ができている、と考えます。
ここにおける「肝」は西洋医学の肝臓ではなく、全身にエネルギーや血液を巡らせる働きや、消化器、自律神経の機能を持つものと考えられています。
梅核気の治し方
梅核気でお悩みの方の状態を肝気鬱結(かんきうっけつ)といいます。ストレスなどで精神的に落ち込んだ状態になり、血液やエネルギーなどがうまくまわらなくなっています。
すると、喉だけでなく
- 肩こり
- 眠りが浅い
- 生理不順
- 生理痛
- 腹痛
- 下痢
- 冷え性
- 乾燥肌
- 手の平の汗
- 汗がなかなか引かない
- 風邪をひきやすい
- 膨満感
- 喘息
- うつ症状
などが起こります。
喉の違和感だけでなく、一人ひとりのこのような諸症状をしっかり聞き、その人に合った施術法を見極め、改善を目指します。
東洋医学による梅核気の施術法
東洋医学では、梅核気は約2,000年前に書かれた「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」という医学書の一部「金匱要略(きんきようりゃく)」に既に記載されており、その施術法も確立されています。
その施術法によって、梅核気とそれに伴う不快な症状のほとんどが改善されると考えられています。
といっても、方法は一つではありません。
先ほど述べた様々な症状は、その人の最も弱い所に出るものです。
例えば、「胃が弱い人なら膨満感やげっぷ、胸やけ」、「腸が弱っていると下痢や便秘」といった症状が梅核気とともに現れます。
ですので、患者さまごとに根本原因を探し当て、そこから施術をしていきます。すると、色々な不快症状が全体的に改善されていきます。
梅核気についての解説動画
おわりに
本日は、梅核気についてお話させていただきました。
梅核気という症状は、東洋医学的見地に立てば明確な原因があって起こっているものです。局所の症状だけをみるのではなく、全身をみて根本的な施術を行い、すべての不快症状を改善していきます。
喉の不快感や異物感でお悩みの方は、一度当店でお話を聞かせてください。一人ひとりの本当の原因を探し出し、改善への道を共に歩んでいきたいと考えております。