東洋はり灸整骨院 院長の石丸です。
今回は、「アトピー」について、東洋医学の話を交えてお話したいと思います。
アトピー性皮膚炎について
現在、日本でアトピー性皮膚炎に苦しんでいる人はどのくらいいるのでしょうか?
実は、まだアトピーについて大規模な調査は行われておらず、厚生労働省が3年に一度行う調査から割り出した推定人数が、2014年の時点で約45万6千人となっています。
しかし、千葉大学の研究では成人の6.9%という推定結果が出ており、厚生労働省の発表の15倍以上、約800万人の患者がいることになります。
厚生労働省が病院への聞き取り、千葉大学側は個人を皮膚科で健診させた上での推定数値ですから、軽度で病院に通っていない人が多いということなのかもしれません。
アトピーは成人になってからも再発する
アトピーは子供の頃に発症することが多いとされていましたが、最近は成人になって再発する人が非常に増えています。
子供の頃に軽度のアトピーを発症したものの、本人の自覚がないまま症状が治まってしまうケースが多く、大人になってから再発するのです。
アトピーの辛さ
このアトピーの辛さ、苦しみは、罹った人でなければわかりません。
- 強いかゆみ
- 黒ずんで乾燥したり腫れあがる皮膚、水泡
など多くの症状がありますが、あまりのかゆみで眠れないばかりではなく、絶えず剥がれ落ちる皮膚のために夏でも長袖しか着られないなど、日常生活も困難になります。
- 「何となくまわりから避けられる。」
- 「かゆくて何も手につかない。」
- 「朝起きると血だらけになっている。」
- 「ステロイド剤で一時的にはかゆみが治まるが、すぐぶり返す。」
このような苦しみでストレスを抱える人は少なくありません。
正直なところ、アトピーは東洋医学をもってしても難易度は高いです。
皮膚科の塗り薬はアトピーを改善できる?
西洋医学(病院)では、アレルゲンに対するIgE免疫抗体による反応(抗原抗体反応)がアトピーの原因と考えています。
また、皮膚の角質層や細胞をつなぎ合わせるセラミドが何らかの異常を起こし、肌のバリア機能が失われることも原因とされています。
薬として処方されるのは、
- 保湿剤
- ステロイド剤
- 抗ヒスタミン薬
- 抗アレルギー薬
など、皮膚の炎症を一時的に抑えるもので、根本の原因を叩くものではありません。ですので、薬を中断するとすぐにぶり返してしまうことが多いのです。
しかも、悪化すると白内障や網膜剥離(もうまくはくり)を引き起こしたり、ヘルペスに感染しやすくなったりすることもあります。
西洋医学の塗り薬や内服薬は、アトピー性皮膚炎を根本改善できる治療法ではないと考えるべきでしょう。
アトピーの原因は白砂糖?
京都の有名な東洋医学専門院のホームページには、「白砂糖を摂っている人は当店にお越しいただいても治りません」といったことが書かれています。
アトピーでお悩みの方も、砂糖の摂り過ぎが良くないことを耳にしていると思います。
東洋医学では、アトピーは皮膚疾患ではなく、体内に毒素が溜まっていることが原因と考えています。
砂糖は毒素の最たるものというのが、鍼灸や漢方薬、玄米正食などすべての東洋医学共通の見解です。
ところが砂糖は甘いものだけでなく、多くの加工品に含まれています。ですので、よほどの覚悟がない限り、白砂糖を絶つことができないのです。
白砂糖の弊害
実際砂糖の弊害は東洋医学のみならず西洋医学でも認め出しています。
アメリカのUCLAで臨床栄養学博士号を取得した栄養コンサルタントのナンシー・アプルトン博士は、著書「砂糖には124もの害がある(124 Ways Sugar Can Ruin Your Health)」で、砂糖がどれほど健康に被害を及ぼすか告発しています。
そして東洋医学においては、砂糖など主に南国で取れるものは身体を冷やす作用があると考えています。
サトウキビ
白砂糖の原料となるサトウキビは、
- ブラジル
- インド
- タイ
- コロンビア
- フィリピン
などの熱帯地域が多く、日本人には適していません。
砂糖は血行を悪くする?
また、砂糖は水分を溜め込む働きがあるとされています。血液の水分と結合し血流を悪くするため、身体が冷えやすくなります。内臓は冷えに弱く、特に腎臓の水分の排出機能が低下してしまうため、体内に水分が滞留し、さらに血行が悪くなるのです。
東洋医学的見地で考えると、サトウキビから作られる砂糖は三温糖(さんおんとう)でも黒砂糖でも決して良いものではありません。しかし、黒砂糖は鉄、亜鉛、カルシウムなどのミネラルが豊富で、水分を排出するカリウムも上白糖(じょうはくとう)の500倍以上含まれています。
ですので、甘味を摂りたい時には黒砂糖を少量摂取するようにしましょう。
これは、もちろんアトピーでない方も同様です。
皮膚は体のゴミ捨て場
東洋医学では、「皮膚は体のゴミ捨て場である」と考えます。体内の毒素が皮膚に現れる、ということです。
例えば、「チョコレートの食べ過ぎで口内炎ができたり、脂っこいものやインスタント食品ばかり食べるとニキビができる。」といった経験をされた方は多いのではないでしょうか。
人間の体には有益なものと有害なものを判断し、有害なものは肝臓や腎臓が解毒し、体外に排出する機能が備わっています。
ところが、有害なものが大量に体内に入ると肝臓は処理しきれず、血液を通して体中にまわってしまいます。その一部が、皮膚に現れるのです。
東洋医学では、アトピーの場合食品添加物や農薬など、体に有害なものを便や尿で排泄する機能が追いつかず、皮膚に現れていると考えられています。
また、アトピーなどの皮膚疾患が自然におさまった場合、本当に改善したとは限りません。内臓が弱り切ると、皮膚に排出する力すらなくなってしまうのです。
これまで悩んでいた疾患が自然に治まってきたのに体調が良くないという場合は、こういったことも疑われます。
アトピーは内臓の機能を高めて改善
東洋医学では、表面に現れた症状の原因は内臓にあると考えます。
アトピーの場合、肝臓や腎臓の機能が弱っているために、正常に機能していないのです。
ですので、まずは内臓の機能を高める鍼灸施術を行います。
すると多少身体に悪いものが入ってきても、それを解毒・排出するサイクルが働くようになり、アトピーが治まってくるのです。
東洋医学によるアトピーの解説動画
おわりに
アトピーの治療は困難ではありますが、東洋医学と患者さまの少しの努力で、症状を大幅に緩和させることができます。
慢性病は東洋医学が得意とする分野ですので、アトピー性皮膚炎で悩んでいらっしゃる方は、ぜひ一度東洋はり灸整骨院にお越しください。
鍼灸施術以外にも食事理論や生活習慣のアドバイスもさせていただきます。