肩こりは、現代の日本社会では発症して当たり前の症状といっても過言ではないです。
ネットで検索しても、
- 「パソコンのしすぎ」
- 「家事や仕事で同じ姿勢を取りすぎるため」
などとあり、仕事も家事も止めない限り治らないような書き方です。
対処法として、揉んだりお風呂につかることに加え、湿布を貼ることが一般的ではないでしょうか。
ですが、それらではすぐに元通りでしょう。
そこで本記事では、「肩こりに湿布は本当に効果があるのか?」についてお話させていただきます。ぜひ参考にしてください。
肩こりに湿布は効果なし?
肩こりに湿布は効果があると思いますか?
確かに、市販の湿布薬はメントールの香りがして、いかにも効果がありそうです。TVのCMなどでも「直接痛みに作用」などというキャッチコピーが踊り、貼ればどんな痛みも軽減してくれるような気になります。
しかし、実際に湿布を貼って本当に肩こりがなくなったと感じていますか?
実は市販の湿布には、肩こり専用というものはないのです。
湿布は筋疲労による筋肉痛には有効ですが、肩こりや腰痛にはあまり効果は期待できないでしょう。
肩こりの原因
肩こり、腰痛、筋肉痛はそれぞれ原因が違います。
- 肩こりは、筋硬直や血行不良
- 腰痛は、筋緊張や骨の変形
- 筋肉痛は、筋疲労
によるものです。
同じ痛みでも原因や状態が違うので、それぞれに合わせた治療が必要なのです。
冷湿布と温湿布ならどっちがいい?
湿布には冷やす効果のある冷湿布と、暖かい感じがする温湿布があります。購入する時に悩んだ経験のある方もいらっしゃるでしょう。
ドラッグストアで、
- 「患部が熱を持っていたら冷湿布」
- 「痛めてすぐは冷湿布、落ち着いたら温湿布」
と説明されることも多いと思います。
本当にこれでいいのでしょうか?
東洋医学の考え方
ここで東洋医学の話を交えて解説していきます。
東洋医学では、肩こりは「不通促痛(ふつうそくつう)」という考え方をします。(気が)通らないと痛みが起こるという意味で、全身隅から隅まで気が通っていれば、痛みは起こらないということです。
気が通らない原因は色々ありますが、慢性的な肩こりは冷えが原因なことが多いです。
そこに冷湿布を貼ると、肩が冷えてさらに気や血液の流れが悪くなります。冷湿布には、
- メントール
- カンフル
- 薄荷油
などが配合されていて、皮膚の温度を下げる働きがあるからです。
ですので、東洋医学的にみると、冷湿布は肩こりには良くないということになります。
温湿布が正解?
では、患部を温める「温湿布」ならよいのでしょうか。
病院やドラッグストアで手に入る温湿布の成分は、血行改善作用のあるものとしてカプサイシンを含むものが多いです。
そのため皮膚は温かさを感じるのですが、実際には患部を芯から温めるわけではありません。むしろカプサイシンの刺激で肌が炎症を起こし、かぶれるケースもあります。
このように、実は冷湿布・温湿布とも肩こりにあまり効果は期待できないのです。
患部を芯から温める方法
温湿布をすると、確かに温かく感じるかもしれません。
カプサイシンは唐辛子の成分です。その刺激のピリピリ感が「熱い」という感覚につながっているのです。英語で「辛い」を「hot(熱い)」ということからしても、それがわかります。
ですので、熱いという感覚は表面的なものか、あるいは皮膚が炎症を起こして熱を持ってしまっていると考えていいでしょう。
肩に何かを貼って肩こりを緩和したいのであれば、実際に温める作用のあるものを貼ることです。
例えば、ホッカイロを貼る、蒸しタオルなどで患部を温めることで血液の循環が良くなりますから、湿布よりは良いと思います。
ただし、これらの方法も低温やけどにならないよう注意が必要です。
湿布の成分に注意
皮膚に張った湿布はその部分だけに作用すると思っていませんか?
実は皮膚から様々なものが吸収されています。
2010年頃、石鹸に使用されていた加水分解コムギ末によって小麦アレルギーになった人が続出した、というニュースがありました。もしかしたらご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
肌につけ、すぐに洗い流す石鹸の成分なのに、アレルギー体質になってしまい、アナフィラキシーショックに至る人まで出たのです。
アレルギーは体内の反応が皮膚に出ているものですから、皮膚が加水分解コムギ末を吸収したとしか思えません。
また、病院で湿布薬を処方された方は経験があると思うのですが、湿布薬の処方の前にアレルギーの有無を問われます。これは、湿布薬に配合された抗炎症成分によって、喘息が悪化してしまうことがあるからです。(アスピリン喘息)
このように、皮膚から成分が吸収されることによって危険なケースもあることを知っていただきたいのです。
湿布は化学物質の塊?
多くの湿布薬には消炎鎮痛作用のあるサリチル酸メチルが含まれています。これは内服すると毒性があり、胃や腎臓に障害を起こすとされています。
しかし、外用しても皮膚から吸収されることは先ほど述べたとおりです。むしろその作用を利用して末梢神経を麻痺させることにより、痛みを感じなくさせるのです。
同じ効果を持つものにNSAIDsがあり、こちらも内服すると消化器系に障害を起こすことが知られています。
ですので、東洋医学の観点からは湿布薬はお勧めできません。
東洋医学で根本改善を目指そう
先ほどホッカイロをお勧めしましたが、実はこちらも対症療法の1つです。自分自身の力で冷えを改善できるようにならなければ、ずっとホッカイロのお世話にならなければなりません。
東洋医学専門の鍼灸院である当店では、肩ではなく全身をみて施術を行います。一時的な爽快感や不快感を取ることには重きをおきません。
- 食べたものをしっかり消化吸収しエネルギーを作れる体
- 気の流れがスムーズになる体
を作り上げ、肩こりをはじめとする諸症状も同時に施術していきます。
すると、湿布薬を購入する必要のない、痛みのない健康な状態を保つことができるようになるのです。
肩こりと湿布の関係 動画解説
おわりに
「湿布は肩こりに効果があるのか」について、お分かりいただけたでしょうか?
肩がこるのは気の流れが肩で停滞しているからで、その要因は別のところにあるのです。その原因にアプローチし、不通促痛が起こらない体を作るのが東洋医学です。
肩こりにお悩みの方は、ぜひ東洋医学専門の東洋はり灸整骨院にご相談ください。