梨状筋症候群は、お尻や足に痛みがあるものの原因不明とされる疾病です。
しかし、東洋医学なら鍼灸施術で良好な結果を導き出すことができます。当店でもこれまで梨状筋症候群の方を施術してきましたが、多くの方の症状を改善することができています。
そこで本日は、「梨状筋症候群の鍼灸施術」に関してお話させていただきます。東洋医学ならではの考え方と鍼灸施術についてぜひご覧ください。
梨状筋症候群の症状
梨状筋症候群は、お尻や太ももの後ろ側に鋭い痛みがあるのが特徴です。坐骨神経に沿って起こることが多く、坐骨神経痛やヘルニアとみ断されてしまうことも多いようです。
安静にしていれば治りやすいといわれますが、座り仕事をしているとお尻に負荷がかかるため、実際には治しづらい症状といえます。
梨状筋症候群の原因
梨状筋とはお尻にある筋肉の一つで、股関節を広げる時に使われる筋肉です。尾てい骨の上にある仙骨の前面から大腿骨の上部を横切るようについています。
坐骨神経は骨盤から出て梨状筋の下を通り、下肢に伸びていますが、梨状筋がこの坐骨神経を圧迫することで坐骨神経痛を起こします。また、坐骨神経は分離してふくらはぎや足先まで通っているため、下肢全般に痛みやしびれが起こることもあります。
最初はお尻の内側がピリピリとしびれたような痛みを感じ、その後太もも、ふくらはぎと下向きに症状が広がり、足指にまでこの症状が起こることもあります。
西洋医学が考える原因
西洋医学(病院)で考えられている原因は大きく分けて3つあります。
1.神経や血管の圧迫
一つは、梨状筋が緊張しまわりの神経や血管を圧迫することで、神経性の痛みや血行不良によるしびれなどを起こします。
2.梨状筋のしこり
次に、何らかの原因で梨状筋にしこりができ伸縮がうまくできなくなると、臀部から太ももの筋肉にかけて痛みが生じます。
3.梨状筋の緊張
最後は、梨状筋が緊張し、まわりの関節がスムーズに動かなくなってしまうために痛みが生じるというものです。
これらの原因は個別に起きているとは限らず、多くの場合複合的に起きているようです。
梨状筋症候群を起こしやすい人の特徴
梨状筋症候群を発症しやすい人は以下の特徴があります。
筋肉の緊張
梨状筋症候群は、梨状筋が緊張しすぎていることで起こります。
たとえば転んでお尻の梨状筋を強く打つと、筋肉が緊張して坐骨神経を圧迫します。指圧やマッサージで強い刺激を受けただけでも、筋肉が硬くなってしまう場合があります。
デスクワーク
また、デスクワークや運転手の人も梨状筋症候群を引き起こしやすいです。上半身の重みで梨状筋を圧迫しているので、それに耐えるためにずっと緊張状態が続いているのです。
足を組む
さらに、足を組む人は片方の梨状筋に上半身の体重すべてが乗ってしまうので、さらに梨状筋症候群を引き起こしやすいです。
立ちっぱなし
逆に、立ちっぱなしの仕事も腰や臀部が緊張している状態が続くため、梨状筋症候群を発症しやすいようです。
スポーツ
スポーツで股関節をよく使う場合も梨状筋が緊張しやすいため、坐骨神経とこすれ合い、圧迫することで痛みが生じます。
また、それまで続けていたスポーツを止めると、柔らかかった筋肉が動かなくなるため萎縮し、坐骨神経を圧迫するといわれます。
女性に多い
そして梨状筋症候群は、男性に比べ女性が多いといわれます。これは女性のほうが圧倒的に筋肉量が少ない上に筋力が弱いことが原因の一つです。
レントゲン検査では分からない?
実は、梨状筋症候群はレントゲンやMRIでは判断することができません。骨や神経の異常ではなく筋肉の緊張や萎縮・硬化状態は、画像で判断するのは難しいのです。そのため、骨にも神経にも異常がない場合、とりあえずの診断として、梨状筋症候群とされるのです。
その後、実際に足をひねったり上げたりすることで痛みを確認し、正式に「梨状筋症候群」と言われます。ですが、仮の症状名がそのまま病名になるというのも不思議な話です。
梨状筋症候群の治療法
梨状筋症候群の主な治療法は、以下になります。
- 抗炎症系鎮痛剤
- 湿布
- 神経ブロック注射
- 弛緩剤
- 温熱療法
- 低周波療法
- 手術
安静にしつつ抗炎症系鎮痛剤や湿布をし、それでも効果が感じられない場合は神経ブロック注射を行います。梨状筋の緊張をほぐすために弛緩剤を使用したり、リハビリテーションで温熱療法や低周波療法を行ったりすることもあります。
最終的な手段としては梨状筋を切除し、坐骨神経が圧迫されないようにする手術が選択されます。
梨状筋症候群の様々な症状
梨状筋症候群と一言でいっても、実際には色々な症状があります。
- お尻のほっぺあたりが痛い
- 太ももの裏から足先までしびれる
- 寝る時にしびれている方を上にするとしびれる
- 電流が走るようにビリビリした痛みが走る
といったように、痛みも部位も違います。
先ほども述べましたが、レントゲンやMRIではほとんど異常がないことがよくあります。
逆に画像結果でははっきり梨状筋症候群の所見が出ているにも関わらず、全く痛みやしびれがない人もいます。これは梨状筋症候群に限ったことではありません。レントゲンやCT、MRIでの画像と患者さんの自覚症状が一致しないことは整形外科の世界ではよくあることです。「一致することはたった20%程度である」と整形外科学会も発表しています。
つまり、検査画像は正確ではなく、各整形外科医の判断に任されているということです。
東洋医学は人体を動くものと考える
身体はたとえ眠っていてもどこかしら動いているものです。
しかし、レントゲンではある角度からの静止画ですから、撮る角度や位置によって写らないこともあります。骨折ですら、靭帯や骨膜に損傷がなく、骨がずれていないと気づかないこともあるそうです。ですので、レントゲンやMRIでの画像だけで判断するのは無理があるのです。
東洋医学では人体は常に動いている、生きているものとして捉えています。一人一人の体の動きや働きを考慮し、その人に最も適した施術を行うことで、お悩みの症状を改善していきます。
東洋医学は体全体をみる
東洋医学の施術は、まずカウンセリング時に一人ひとりのお体をじっくり観察します。
- 脈
- 顔色
- 舌の色
- 状態
- 声
などを細かくチェックしながら、時間をかけてお話を伺います。
すると、ほとんどの方が梨状筋症候群以外の不調を持っていることが分かります。
- 手足が冷える
- 生理痛がひどい
- 片頭痛
- 下痢
- 鼻炎
- 眼精疲労
など、梨状筋症候群とは全く関係ない症状にも悩まされているのです。それらには大元の原因があり、それが様々な不調になって表面化しているのです。
ですので、東洋医学では腰が痛いからといって腰だけに施術をせず、腰が痛くなる体質や環境を把握した上で、総合的な体質改善を行います。そうすることによって、すべての不調が同時に改善されていくのです。
梨状筋症候群の解説動画
おわりに
長い間、整形外科へ通っても一向に改善しない場合は、手術を決意する前に東洋医学専門の鍼灸院にご相談ください。
東洋はり灸整骨院でも梨状筋症候群でお悩みの方の症状を改善し、たくさんの喜びの声をいただいております。
お尻や脚の痛み、しびれから一日も早く解放されたい方は、ぜひ一度お越しください。