マラソンランナーなど、ランニングによって膝を痛めたという話をよく耳にします。これ腸脛靭帯炎(ランナー膝)を発症している可能性があるため注意が必要です。今回はこの腸脛靭帯炎について、東洋医学の視点から詳しく解説していきます。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)とは
腸脛靭帯炎はスポーツ愛好家に多く発症し、別名ランナー膝と呼ばれるほど走る競技を行う方に特に多く見られるスポーツ障害となります。なぜランナーに多いかというと、腸脛靭帯炎は膝の屈伸運動をくり返すことで、腸脛靭帯が大腿骨(太ももの骨)とこすれることにより炎症を起こすためです。
膝の外側に痛みが現れるのが特徴で、特に男性に多く発症します。陸上中長距離の競技者においては、道路やトラックなどの関係で、傾いた路肩やカーブを曲がる際に発症することが多いです。
腸脛靭帯とは
腸脛靭帯炎の名前にもなっている腸脛靭帯は、おしりの筋肉(大殿筋と大腿筋膜張筋)から始まり、脛骨(けいこつ:すねの骨)の前外側にある膨らみ(Gerdy結節)にくっついています。
膝を伸ばしているとき、腸脛靭帯は大腿骨の外側の出っ張りの前にありますが、約30度膝を曲げると出っ張りを乗り越えて後ろに移動するのが特徴です。このときに腸脛靭帯は、大腿骨の外側の出っ張り部分にこすれてしまいます。このような膝の屈伸運動をくり返すことで出っ張り部分が摩耗し、膝の外側に炎症や痛みが生じるのです。
腸脛靭帯炎の主な原因と症状
- 長時間のランニングやジャンプ動作
- ストレッチ不足による柔軟性の低下
- 骨の成長と筋肉の柔軟性のアンバランス
- 大腿四頭筋(ももの前)とハムストリングス(ももの後ろ)、殿部の筋肉の不均等
- クッション性がない靴や自分の足に合っていない靴での運動
- 足に負担のかかる場所(硬すぎもしくは柔らかすぎ)でのスポーツなど
- O脚
- おしりの筋肉が弱い(骨盤が不安定な状態となり腸脛靭帯にストレスがかかりやすい)
- 回内足(かかとが外側に傾く状態)
- 捻挫の既往がある(足首が不安定だとそのうえにある関節に負担がかかる)
腸脛靭帯炎の初期段階では、運動中や運動後に痛みを感じる方が多いです。炎症が強くなってくると、何もしていない安静時でも痛みを感じるようになってきます。
効果的な予防方法 3選
①ストレッチポール
ストレッチポールは筋肉を緩めたり、背骨を整えたりする効果のあるストレッチ器具です。ストレッチポールを床に置き、その上に太ももの外側を押しつけるようにコロコロと転がしながら動かしましょう。周囲の軟部組織がほぐされ、痛みが緩和されます。
②おしりの筋肉のトレーニング
おしりの筋肉を鍛えることで、腸脛靭帯にかかる負担を減らします。特に外転運動を行うのがオススメです。
③ストレッチ
筋肉の硬さがあると、筋肉の始まりである骨に負担がかかり炎症が起こりやすくなります。筋肉が硬いままだと、腸脛靭帯炎のようにこすれて痛みが出るリスクが大きいです。普段からできれば毎日、ストレッチを行って筋肉をほぐすようにしましょう。
東洋医学における腸脛靭帯炎の改善法
東洋医学の場合、腸脛靭帯炎のような筋肉関係の症状は、主に肝臓の機能が下がると起こると考えます。東洋医学で肝臓は血の巡りを担当しており、身体の循環が悪くなると筋肉の症状が起こりすくなるため注意が必要です。
腸脛靭帯炎の特効ツボ
東洋医学では、気・血・水の通り道である経絡(けいらく)と、身体の接点であるツボ(経穴)に鍼灸で刺激を与えて施術を行います。腸脛靭帯炎に効果のあるツボは、主に以下の3つです。
1 陽陵泉(ようりょうせん)
筋肉の症状に良く効くといわれているツボです。膝の外側の真横から少し下の部分が目印となります。
2 風市(ふうし)
腸脛靭帯炎の痛みや炎症に効果的なツボです。太ももの外側の、気をつけの姿勢をとったときの中指の位置にあります。
3 中瀆(ちゅうとく)
足のむくみや太ももの痛みを緩和させる効果があります。ちょうど腸脛靭帯の上にあるツボです。
東洋医学では、痛みのある部分のみに施術をするのではなく、全身にあるツボを使って肝臓の機能を上げ、身体本来が持つ自己治癒力を促進して改善を促します。
上記のような膝の外側の痛みや違和感は他の疾患の可能性もあるため、症状を見極めながら原因を特定し、的確にアプローチをしていきます。全身の機能を向上させるので、腸脛靭帯炎以外の不調も合わせて改善できるのが、東洋医学の大きな強みです。
まとめ
運動をする人にとって、スポーツ障害はつきものです。しかし症状が悪化すると、スポーツはもちろん日常生活にも影響を与えてしまいます。
痛みを改善し、パフォーマンスアップを目指すなら、身体を内側から整えて体質改善が見込める東洋医学がオススメです。痛みが悪化する前に、ぜひ当店までお気軽にご相談ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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